人は20kHzまでしか聞こえないという古い常識に基づきCD等の規格が決められました。しかし、CDの音が悪いという人たちも頑なに存在していました。その代表が、芸能山城組を率いる音楽家の山城祥二氏(当時、筑波大学の大橋力教授でもあった)で、20kHz以上が必要だという論文を1984年に発表しました。また、アメリカのある学者は耳を解剖し、その構造寸法から人は90kHzまでは感じる構造になっているとも発表しました。これらのきっかけからオーディオ界では再検討が始まり、超高域の必要性が認識されて、90kHzが再生可能なSACDやDVDオ−ディオが誕生したのです。また、100kHz帯域幅を持ったスーパー・ツイーターが各社から発売されるとともに、100kHz帯域幅を持ったマイクロフォンがNHK技研とサンケンマイクロホン(株)とで共同開発されるに至ったのです。「20kHz以上は単独では聴こえないが、20kHz以下の楽音と混ざることによって臨場感や雰囲気や気配として心地良い影響を与える。」という意外な作用が明らかとなりました。超高域効果は高齢で高音が聞こえなくなった方々にもよく分かったりします。また、この超高域は脳波のうちのα波を誘発するので心地よいとされています。そのせいなのか、ハーモネーターを使うと長時間聴いても疲れなくなります。
切り捨てられた20kHz以上は理論的に再現できないので似たものを探すことから始めたのです。すると、20kHz以上は高調波という常識に反し、なんと殆どが不規則なランダム波だったのです。バイオリンはこする際に生じるランダム波をふんだんに含んでいます。合奏ともなれば、各人の音程は微妙に異なり、さらにビブラートもかけるので超高域はいっそうランダムになります。フルートをはじめとする管楽器は吹く際に生じるヒューというランダム波を非常に多く含みます。シンバルやマラカスなどの不規則波は基音と高調波に区別できません。電話の保留音などの電子音のみが、自然界には存在しないほどに規則的な高調波を出しますが、決して良い音ともいえません。つまり、アコーステック楽器をはじめとして、波や風の自然音は超高域のランダム波をふんだんに含んでいて、だからこそ快適だったのです。蒸留水よりもミネラルを多く含んだ自然水の方がおいしいと感じるのとよく似ています。「音は不規則な雑音と規則的な楽音とに分かれ、楽音は基音周波数と、N倍の周波数群からなる倍音とで構成される。」という単純すぎる音響理論を疑うことなく信じ込んでいただけなのです。
ハーモネーターは音楽信号の6kHzから20kHzのレベルに見合うよう、失われた20kHzから120kHzまでの超高域ランダム波をダイナミックに発し、原音のスペクトルに酷似させるものです。ハーモネーターで修復した波形は本来のものではありませんが、1秒間に2万回以上もの振動は、波形の違いはもはや認識できず、成分の有無こそが重要なのです。なお、「偶数次の高調波は綺麗な音だが、奇数次は汚い。」とも信じられていますが、3次はオクターブと完全5度の綺麗な和音で、5次は2オクターブと長3度の綺麗な和音ですから、これについても音楽理論とは合わない風説です。
圧縮されているので音に違いはありません。 前半は22kHz以上が急峻にカットされていることが良く分かります。 50kHz以上でノイズが増えているのは測定器によるものです。 音楽の抑揚に応じて自然なスペクトルに見事に戻っていることが分かります。 追加信号の20kHz以下は原信号と混ざらないようにシャープにカットされています。 詳細は技術情報内のスペクトルアナライザのページで
フィデリックスでは多くの試聴テストによって、時定数で2.2ミリ秒の快適な時間遅れを設け、 自然なフワッとした感じで超高域のランダム波を追加しています。 人が心地よいと思う楽器には適度な共鳴があり、これによって余韻が存在するのです。 余韻は音の立ち上がり部分で共鳴体が吸収したエネルギーなので、 共鳴現象が心地よい時間遅れを作り出していることになります。 同様に追加する超高域の時間遅れも実に微妙で、ほんの少し短くても軽々しい響きになり、 ほんの少し長くても鈍い感じになってしまいます。 今日ではたくさんの超高域修復技術が存在していますが、超高域成分が最も豊富に出て、 しかも聴覚に心地よい自然な時間遅れを持たせているのは唯一、フィデリックスによるハーモネーターのみです。
確かにCDには20kHz以上が含まれていない筈ですが、 実際にはスーパー・ツイーターを追加しただけでもそれなりの効果があるので、 実践している人たちもいらっしゃいます。 それは、20kHz以上の残留ノイズがスーパー・ツイーターから出て、 ピアニッシモ側では音楽信号とたまたまバランスするからです。 しかし、フォルテ側では全く足りません。 ピアニッシモからフォルテッシモまでの広い範囲で音楽信号とバランスさせるためには、 やはりハーモネーターは必要です。
好きな音楽がSACDやDVDオ−ディオではなかなか発売されません。 発売されたとしてもそのSACDやDVDオ−ディオを実際に調べますと20kHz以上はほんの少ししか収録されていません。 現時点では20kHz以上は殆どのマイクロフォンでうまく収録できないことが最大の原因です。 マイクロフォンは小口径にしなくては超高域が収録できず、 小口径にするとSN比が極端に悪化するからです。 従ってハーモネーターは、CDのみならずSACDやDVDオ−ディオにも現時点では使用した方がよいのです。
'94発売のSH-20KはCDプレーヤーとアンプの間に挿入する方式なので、 ヘッドフォンでも使え、新たなツイーターは不要なため簡便です。 しかし、使う装置の超高域性能に依存するので、 優れている場合は非常に効果的ですが、 そうでない場合の効果は薄いこともあります。 SH-20KにはこのAHSに似たアコースティックタイプというバリエーションもありますが、 使いこなすには高い技術が必要なため、一般的ではありません。 しかし、このAHSは120kHzまで再生できる専用のスーパー・ツイーター(FT-120K)とアコースティックハーモネーター(AH-120K)とのセットのため、 お使いの装置の超高域性能に左右されることなく「確実な効果」を発揮するとともに、調整も容易です。 さらに、SH-20Kのように装置の間には挿入しないので、 20KHz以下を受け持つ従来装置の音には物理的に僅かな音質変化も生じさせないというメリットがあります。 ただし、ツイーターやスーパー・ツイーターが良くなると、なぜか低音楽器が一層リアルに感じることはよく体験しますし、 よくいわれてもいます。ぜひともご体験ください。
20kHz以上を出すには、軽い振動面全体が同時に力を受ける構造である圧電型と、 リボン型と、コンデンサ型が圧倒的に有利で、FT-120Kはこのうちの圧電型です。 透けるかのように薄い圧電フィルムの前面後面ともが障害物の非常に少ない構造なため、 楽々と振動できるので超高域が軽々と出せるのです。 いくつかの測定法で120kHzが再生可能なことは確認済みです。 さらにこの用途に最適化するようAH-120KとFT-120Kの双方で厳密にチューニングし合ったのがAHSなので、 本来の性能を発揮するためにも分売は致しません。
音楽の超高域分は料理におけるスパイスに似ていて、 微量であっても効果的なので十分です。 付属コードは標準で約2.5mですが、長尺のご希望も承ります。
いいえ、近視や遠視の人がいて、声に高い人や低い人がいるように、 聴覚にも高い方に寄っている人と、低い方に寄っている人がいることが明らかになりました。 ハーモネーターの効果は、分かる人の方がもちろん多いのですが、 個人差もあるので必ずしも誰にも分かるわけではありません。 経験からすれば女性は殆どの方がよく分かります。 聴覚には個人差があり、中には芸能山城組のK氏(男性)のように50kHz(サイン波)の有無を確実に言い当てるような人もいます。
いいえ、超高域を出すためには超高域信号がスーパーツイーターに加えられ、 かつスーパーツイーターがそれを再生できる能力があって初めて音波となります。 ですから超高域が再生可能なスーパーツイーターを付けたとしても、 超高域信号が加わっていなければ再生できません。
本来のパルス的な音は非常に高い音を含みます。 しかし、それをCDに入れようとしても、 サンプリング周波数44.1kHzの帯域制限を受けてしまいます。 結果としてどんな急峻なパルス信号であってもCDには最大22.05kHz以上の成分を収録することはできません。
いいえ。マイクロフォンは20kHz以上を収録するのは容易ではありません。 以下は、ごく一般的なSACDやDVD audioにおける実際の周波数分析例です。
DVD audioのようにオーソドックスなデジタル方式は、 ビット数がDレンジを決め、サンプリング周波数が高域限界を決めます。 1ビットならDレンジが狭くなると思われがちですが、 SACDのようにデルタ・シグマ方式ならサンプリング周波数をうんと上げれば、 1ビットであってもDレンジを広げることができます。 しかし、2.8MHzまで上げたとしても、まだ十分とは言い切れません。 そこでSACDでは、より重要な20kHz以下のノイズを下げ、 その帯域でのDレンジを広げるべく、ノイズシェーピングという技法を用いています。 この技法の副作用は約30kHz以上に、信号レベルとは無関係で、 かつ音楽の高域成分よりも大きなシェーピングノイズとなって表れます。 このままだとシェーピングノイズは100kHzでは盛大になりすぎて、 パワーアンプやツイーターを壊す恐れすらあります。 そこで、多くのSACDプレーヤーではシェーピングノイズ量を安全な範囲に制限すべく50kHz〜70kHzより上を減衰させるハイカットフィルターを入れています。 100kHzで−30dB近く下げるのが一般的です。 すると当然ながらオーディオ信号も100kHzで−30dB近く減衰することになります。 スペアナ写真にはこれらの様子が良く表れています。
DVD audioはマルチビットなのでオーソドックスな動作をします。 ここでのデーターには48kHz付近に何らかの漏れ信号が観測できますが、 シェーピングノイズはありません。
SACDとDVD audioのいずれもが現時点ではマイクロフォンの性能によって制限され、 20kHz以上は収録されていないことがよくわかります。 ごく最近になってサンケンマイクロホンが100kHzまで、 ショップスが40kHzまでを収録可能な音楽用マイクロフォンを発売しましたが、 こういったマイクロフォンが広まれば、 どちらの方式も20kHz以上の超高域は収録可能です。
マイクロフォンには主にダイナミック型、リボン型、コンデンサー型があります。 コンデンサー型が最も高域まで伸びるので、音楽録音には70%から80%以上はこの方式が使われています。 コンデンサー型は直径数センチの枠に、薄い振動板をパンパンに張って共振周波数を上げています。 この共振周波数以下がフラットな特性になり、共振周波数以上は−12dB/octで下がるからです。 この様な動作を弾性制御(スティフネス・コントロール)といいます。 強く張るにも限界があるので、そこから先は口径を小さくすることで共振周波数を上げます。 しかし口径を4分の1にして共振周波数を4倍にすると、音圧を受ける面積は16分の1になるのでSN比が極端に悪化してしまいます。 そのため殆どの音楽用マイクロフォンの共振周波数は周波数特性とSN比の妥協点である20kHz付近になっています。 このため現実問題として20kHz以上を収録するのは簡単ではないのです。