LPレコードを最大限に生かす方法(その1) クリーニング方法 | 中川 伸 |
---|
LPレコードを再生しているときの溝の様子はどうなっているのかご存知でしょうか?実はゴルフボールを乗せられたコンニャクように、レコードはグニャと凹んでいるのです。私は顕微鏡写真を見たことがありますが、このように変形した状態で摩擦を続けているのです。でもご安心下さい。針が過ぎ去れば元の形には戻ります。そこで、質問ですが、次のうちで一番重いのはどれでしょうか?1)象の足で踏まれる。2)女性からハイヒールの踵で踏まれる。3)レコード針を乗せられる。答えは単位面積あたりで考えると3)が一番重くて2)がその次です。つまり、レコードには思わぬ負担がかかっていて、そのため、塩化ビニールは変形しながら摩擦をしているのですから、表面の状態は非常に重要となります。
ガラスでも時間が経つと汚れて曇ってきます。曇ったガラスは拭いてみると摩擦抵抗が増えています。ちょっと見た目には分かりませんが、レコードもだんだん曇ってきて、摩擦が増えてくるのです。そこで、先ずはきれいに洗って、摩擦を少なくすることは非常に重要です。
アナログ再生において、レコードをクリーニングすると音質的には非常に大きな変化であるため何よりも優先しなくてはなりません。私は写真にあるVPIという米国製レコードクリーナーを使っています。定価は128,000円と高価ですが、使用頻度が多いので非常に便利に使っています。これには専用のクリーニング液が付いてきますが、すぐになくなってしまいます。もちろん追加注文できますが、説明書には代用品としてイソプロピルアルコールを4〜5倍に精製水で薄めても良いと書かれています。数本分は代用品を使いましたが、液体が盤上ではじける感じがあり、音も純正の方が良かったです。
その後、薬局で名前を書く必要がなく、入手しやすいメタノールやエタノールや燃料用アルコールも使ってみましたが、イソプロピルアルコールとは大差がありませんでした。そのため、燃料用アルコールを精製水で薄めて主に使ってきました。なお、精製水は安いです。
最近では、台所用の中性洗剤(緑のジョイで界面活性剤が主成分)をさらに千分の1程度加えますが、液体のはじける感じは無くなって、洗浄力が上がり、音もより滑らかで澄んだ感じになります。純正液に近くなっていい感じです。このようにクリーニングをすると、ベルベット製のレコードクリーナーで拭いても摩擦が減っているのがよく分かると思います。これが音に反映されるのです。汚れの程度によっては台所用のメラニンスポンジ(激落ちくん)で拭いたり、先の細い歯ブラシを使うこともあります。洗浄効果は、ジャリジャリとした荒れた感じが無くなって、歪み感が減り、より細やかな音まで聴こえるようになります。前にも書きましたが、針も長持ちします。
VPIのような機械が無くとも、洗うという行為さえすればよい訳ですから、各自で工夫をしてみてははいかがでしょうか?きっと音の効果に驚くと思います。なお、初期のLPはレーベル部が水に弱い紙質のものもありましたが、後には、水に強い材料になっています。少々なら濡れてもすぐに拭けば殆ど大丈夫ですから、自己責任で洗い方を試してみて下さい。
さて、私の友人で本城博さんというオーディオ愛好家がいらっしゃいます。この方は高給取りなはずですが、お金をかけずにオーディオを目いっぱい楽しむのが上手くて、これが生き甲斐でもあります。もうメーカー泣かせの大変なツワモノです。以下はその方からのメールをそのまま掲載いたしますので、これも自己責任で試してみて下さい。
-------------------------------------------------------------------------------------------
本城式 オーディーの楽しみ方
1.アナログレコードのクリーニング方法のご紹介
<用意するもの>
古新聞、台所用食器洗い洗剤とスポンジ、ビニール袋
<クリーニング方法>
@台所用食器洗い洗剤を約50倍程度に薄め、スポンジに含ませる。
Aレコードの溝に沿ってスポンジで2回程度洗う。
B水道水を流しながら洗剤を素早く取り除く。
Cレコード盤を1分程度立てかけて、水切りする。
Dレコード盤を新聞紙に挟む。
E手にビニール袋をはめて、新聞紙をこすって素早く水切りする。
<洗浄のコツ>
@素早く、水切りすること。これがコツです。
A新聞紙をこする時、手にビニール袋をはめないと、手がインクで黒くなる。
<効果>
お金を掛けずにカビや埃が綺麗にとれて、素晴らしい音に変身します。
自分の責任で一度お試しください。
2.ベルトドライブ式アナログレコードプレーヤのベルトの話
アナログレコードプレーヤのベルトは、秋葉原などで入手できますが、相場価格は、2000円〜4000円程度です。超安価なベルトの自作を紹介します。
<用意するもの>
100円ショップで売っている自転車のリムの内側に使用する
5mm〜6mm幅のゴム製ベルト(27インチ用が2本で100円)
瞬間接着剤、500番程度のサンドペーパ、ナイフorはさみ
<作成方法>
@自転車用ゴム製ベルトをプレーヤに合うサイズに切断する
A切断部分を瞬間接着剤でつなぎ、乾燥するまで静かに待つ。
B余分にはみだした接着剤は、ベルトの片面だけサンドペーパで取り除く
<作成のコツ>
@ベルトの切断は、ベルトの側面に90度で切るのではなく、
斜め45度程度〜30度程度で切断する。
昔、オープンテープを接合した時の要領で切断・接合します。
そうすることで、接着面積が大きく出来て、強度が得られます。
色々な切断形状を試してください。
A余分にはみだした接着剤を除去する目的は、スリップによるワウ防止です。
除去はそんなに神経質にならなくても問題にはなりません。
失敗しても100円。自分の責任で一度お試し下さい。
-------------------------------------------------------------------------------------------