回転数表記が正確なストロボスコープを作ってみました。 | 中川 伸 |
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LPや SPを高音質DSDでデジタル化したいと考えておりますが、先ずは回転数を正確にしなくてはなりません。ストロボスコープは必ずしも正確な回転数を表記している訳ではありません。というのは、蛍光灯や電球は60Hz地域では120回、50Hz地域では100回のチラツキを発生します。1分間では 7200回と 6000回のチラツキということになります。これを回転数で割れば1周に配置すべき縞模様の数が出ます。ここでの問題は端数が出る場合ですが、端数の縞模様は描けませんので、近い整数を選ぶことになります。これが誤差の原因となります。作図した高精細のストロボスコープは外周から216、180、160、133、92、77で、縞数自体は通常のものと同じです。ただし、ここには正確な回転数を表記しています。
例えば最内周を例にすると、正確には77.92回転なので78回転には0.08回転不足します。これを角度に直すと-28.8°になります。つまり1分間にその角度を補うだけ右回転させると、ぴったりの78回転になるという訳です。さて-0.08回転分を基準のラ音の440Hzに当てはめると-0.45Hzになります。これは絶対音感を持つ音楽家にとっては微妙な値です。78.26回転は+1.5Hz相当なので、絶対音感が無くとも音色は変わるので、音楽家なら問題にすると思います。45.11回転は+1.1Hzですから、まあ修整した方が良いでしょう。調整に使う光源は今なら小さいLED電球が良いように思います。大きいものはインバータ方式になっていて、チラツキがないので使えません。
なお、絶対音感はあれば良いという訳ではなく、逆に不便なこともあって、音楽の才能とは実はあまり関係がありません。でも中国人の音楽家は非常に高い確率で絶対音感を持っている人が多いそうです。低い中国語はおそらく聞いた事が無いと思いますが、あの言語特有の高くて音階的な特徴と大いに関係しているのでしょう。
ストロボスコープにはオーバーハングの目盛りも入れてありますので便利に使えると思います。直径133mmなのでA4用紙から2枚取れます。厚手の良質な紙かフィルムが良いでしょう。カッターナイフで丁寧に穴を開け、ハサミで外周を丁寧に切り落とし、どうぞご自由にお使いください。「ストロボ屋さん、ごめんなさい!」。ご自慢の出来映えができたと思われましたら、弊社へ封筒で送ってみてください。
なお33 1/3回転という半端な回転数は昔からの疑問だったのですが、60Hzでも50Hzでも、ぴったり合わせられる回転数であることが分かり、長い間の謎か解けました。なお現在の電源周波数は、レコードの回転数を合わせるには十分な正確さです。また、クオーツロックは正確な回転数の設計なのか、ストロボを静止させる設計なのかもチェックすると面白いかもしれません。
正確な回転数云々を言うならクオーツロックのダイレクトドライブで良いじゃないかといった声が聞こえてきそうですが、それで良い音が出るなら、ガラードやトーレンスやEMTやLP12などはゴミ箱行きです。そうならないところがオーディオの奥深いところでで、このテーマについてはまた別な機会に書くことに致します。(2013年4月30日)