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指揮者のタイミング 中川 伸

 指揮者が棒を振る合図を見てから、楽団員は音を出します。したがって指揮者は常に音楽よりも早いタイミングで振っていることになります。結果的に生じるこの時間差は指揮者によっても異なり、また、簡単に計れるわけではないのですが、私の感覚からすれば、0.1秒強の感じです。
 指揮者は野球の監督などと同様で、やってみたい人が多いようです。そこで、音楽好きな人がお金持ちになると一度はオーケストラを指揮してみたいと思う人も実際に居るようです。一昔くらい前だと300万円程でオーケストラの団員は協力して指揮をやらせてくれることもあったようです。
 ところで、そのような棒を振りたい人たちは、普段は音楽に合わせて棒を振っているので、この時間差に慣れていないのです。するとその棒に合わせて楽団員が音を出すとなれば、音楽はだんだんに遅くなってゆきます。それでは困るので、このような場合はコンサート・マスターが実は頭で指揮をするのです。本人は上手く行ったと大満足しても楽団員は後振りする指揮者の棒など見ておらず、コンサート・マスターの頭の方を見ているからこそうまく行くのです。いろんなセレモニーなどでも、たまに有名人が振ったりしますが、こんな場面でコンサート・マスターの頭を見ていると脳震盪を起こしそうなほどに振っていることが分かります。
 さて、タイミングの話のついでですが、コントラバスという楽器はほんの少しだけ音が遅れて出てきます。そこでコントラバス奏者は自分の出した音が音楽にうまく融合するよう、その分を見込んで早めに弾いているのです。といっても指揮者よりは遅いのですが、、。
 私はTVで音楽を聴くときは指揮者によるこのタイミング差に感心があります。弦楽器での弓の動かし方の微妙なタイミングも参考になります。また、映像があると、演奏者が曲をどのようなイメージで表現したいかが表情からいっそう良く分かります。音楽は音という媒体を通じて思想や感情を表現する芸術ですから、シンセサイザによる機械的なリズムの音楽は、人にとっての自然なリズムの揺らぎ(テンポ・ルバートといいます)や、クレッシェンドやデクレッシェンドが乏しく、無表情なので、私はつまらなくて退屈してしまいます。
 また、私は歌や弦楽器が特に好きなのですが、ビブラートや音程が連続的に変化するポルタメントさえも自由に使えて、とにかく表現が多彩であることが大きな理由なのかも知れません。
 さて、ここからは少し苦情っぽくなってしまいますが、デジタル放送の受信やDVD再生などではこの肝心な時間差が滅茶苦茶になってしまっています。音声の信号処理時間と映像の信号処理時間が異なっていて、そのタイミングをきちっと管理できていないからです。分かりやすく言えば「クチパク」がずれたような感じです。世間ではあまり問題にされていないのことが不思議でなりません。ついでにもうひとつ。ワイドTVと謳っていますが、人の顔が縦に短く潰れた映像を普通に見ていられることも、また、不思議でなりません。私は目まいがしそうです。テロップを下に入れるときに、縦を短くしたりもします。縦横比はいつも守ってほしいものです。
 さらにTV番組の中でよく使われるガチャガチャBGMはとてもうるさいので、私はチャンネルをすぐに変えてしまいます。これらについて、改善できる立場の方々がいらっしゃいましたなら、ぜひとも何とかして頂けませんでしょうか?よろしくお願いいたします。
 

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