ハーモニー感覚を鍛えてみましょう。 | 中川 伸 |
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音楽の3要素はリズム、メロディー、ハーモニーですが、ここではハーモニーについて分かり易く説明したいと思います。音にはド、ド♯、レと続いてシまでの12音があります。このなかには仲の良い組み合わせ(きれいな和音で協和音)と仲の良くない組み合わせ(濁った和音で不協和音)があります。
仲の良い組み合わせの代表的なものはド、ミ、ソ(Cでシーと発音)という長調系のコード(和音)と、ド、ミ♭、ソ(Cmでシーマイナー)という短調系のコードがあります。これらにシ♭が加わったド、ミ、ソ、シ♭(C7でシーセブン)とド、ミ♭、ソ、シ♭(Cm7でシーマイナーセブン)といったコードは非常によく使われます。他にもド、ミ♭、ソ♭(Cdimでシーディミニシュ)やド、ミ♭、ソ♭、ラ(Cdim7でシーディミニシュセブン)などがあるので、Cの系列だけでも40近くのコードあります。コードの種類については以下のサイトで詳しく解説をしていますし、音も聴けます。
http://www.piano-c.com/pianoChord_CMa.html
音楽では、あるコードから親戚のコードへと次から次へと進行してゆきますが、これをコード進行といいます。親戚のコードとは、どれかの音が共通している関係と考えればほぼ合っています。
コード進行の説明に、ものすごく良い例があります。バッハの平均率クラヴィーア曲集の前奏曲です。ドミソドミソドミ、ドミソドミソドミで始まるあの有名な曲です。分散和音になっているので、コードを構成している音の一つ一つが非常によく分かって、まるでコード進行の説明のような曲です。実は息子(ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハ)への音楽教育用として作られたようです。
ちなみにコード進行は、C、Dm7、G7、C、Am、D7と続いていって、最後はCで終りです。以下のアドレスをコピーペーストすると聴くことができます(今の時代はすごいですね!)。
http://www.youtube.com/watch?gl=JP&feature=related&v=l9lv1b2HXl8
楽譜を浮かべる必要など全くありませんし、音域は広くて早いので、たぶん口ずさむのも無理でしょうから、心の中で一緒にハミングする感じで、メロディーをすっかり覚えましょう。
そうしたら、次はグノーのアベマリアを聴きます。グノーがバッハの曲を伴奏として、新たに美しい旋律を加えました。これも、以下のアドレスをコピーペーストすると聴くことができます。上がヴァイオリン版で下がメゾソプラノ版(Cecilia Bartoli らしい)でいずれもハ長調からト長調に移調されています。ハ長調のヴァイオリンを聞きたい場合はヴァイオリン・ベスト101という3000円の6枚組CDにグリュミオーが録音したものがありますので、この6枚組は結構楽しめます。ピアノも同様のピアノ・ベスト101という3000円の6枚組CDが3000円で出ていてこちらはシフの演奏です。
http://www.youtube.com/watch?v=xWi0x_aOzeM
http://www.youtube.com/watch?v=suZ4IYVLZbU&feature=related
始めのうちはヴァイオリンやメゾソプラノの旋律を普通に聴きますが、次はピアノ伴奏だけを聴くようにします。バッハを聴いていたから簡単な筈です。これを繰り返すと、旋律と伴奏の織り成す様子がよく分かるようになります。つまり2声に脳が慣れてくるのです。
これをきっかけとして段々にステップアップをしてゆくなら、同時にたくさんの音を聴いて、誰かが間違えれば、即座に指摘をする指揮者のような能力が身に付くかも知れません。やがては、何人もの話を同時に聞く聖徳太子のようにようになれるかも知れません。少なくとも音楽の別な面白さが発見できて、脳の活性化には絶大な効果があると思います。音声認識はコンピューターにやらせるとなかなか上手く行かない大変に難しいことですが、人は普通に話をしていますから、人の脳は実はすごい働きをすでにしているのです。