ヘッドシェルのはなし | 中川 伸 |
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ヘッドシェルは必要悪なので、無いに越したことはありません。しかし、なにかと便利なため、私も使っています。悪い点はガタつきと、接点が増える2点ですが、ガタつきに関してはSAECが最初に対策した製品2種類を発売しました。オーディオクラフトからも何種類かが発売され、STAXからも1種類が発売されました(以下に写真)。しかし、現在ではマイソニックラボ、ベルドリーム、フェーズテックくらいしか見当たらないようです。
そこで、私はオーディオテクニカのAT-LH13/OCCを2ピンに改造したものも気に入っていてよく使っています(写真右端のように取り付け時のガタを無くすべく、ヘッドシェルのアームとの勘合用ピンが上下2本になっている)。使う数が多いのでお手ごろ価格なのはありがたいです。根元から5mmのところに元のピンがありますので、反対側は4mmのところに新たなピンを立てます。スケールを使って正確に4mmのところに千枚通しを使って印をつけます。それをφ1mmのドリルで、計りながら、そして修正を加えながら、対抗の内面に当たるまで穴を開けてゆきます。次に直径1mmの安全ピンを差込み、余計な部分を切り取ります。最後に、アームに差し込んで上下に隙間が無くなってガタのないようにヤスリでピンを精密に仕上げます。後ろから光を当てると隙間は見やすいです。上下ともピッタリと隙間をなくすと、浸透力のある澄んだピアニッシモが出るようになります。他に15gや18gのものもありますが、13gのものが適応範囲は広いようです。
私は接点が増えるのを嫌ってヘッドシェル内はハンダ付けをしてしまいますが、音を聴くとハンダ付けしたほうが歪は減って澄みきった感じになります。ハンダ付けは金属と金属を直接に接触させるようにして、ハンダはあくまでも接着剤のつもりで使っています。使う線は高純度のスピーカーケーブルの余りなどがうまく利用できます。以上の工夫を加えることでディメリットを最小限に食い止めるように心がけています。なお、ヘッドシェルの首部に付属するゴムリングは殆どの場合で取り外しています。