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レコードを正確な中心に置くための装置 PURE CENTERを作りました。 中川 伸

 写真の説明 カウンターウエイトのすぐ右がセンサーコイルで右の小箱がPURE CENTERで、この中のスピーカーから音が聞こえます。

 話はトップウィングから発売された青龍というカートリッジに始まります。私は大のアナログ好きなのでグラツキが無いMITCHAKUというヘッドシェルを考案しました。この構造がトップウイングから大いに関心を持たれ、技術供与という形で使われることになりました。青龍の測定も手伝わせて頂きましたが、これの開発者たちは元Nakamichiの技術者たちで、それもレコードを正確な中心にセットするTX-1000(1881年に\1,100,000)やDRAGON CT(1983年に\400,000)を開発した人たちでした。彼らとの雑談中に、レコードを正確な中心に合わせると音がとっても良くなるということを聞きました。私は音程やピッチに敏感なのでそれは当然だろうと思い、先ずは刺激を受けました。

 現にベートーベンのピアノコンチェルトはバックハウスやアシュケナージなどのウイーンフィルとの演奏はピッチが高くて、曲中でもずーっとそれを感じます。チェロもジャクリーヌ・デュプレや藤原真理は巧妙に高めの音程を取ります。レコードの偏芯も気になるので、何枚かは穴をヤスリで削りました。また、開発中のプレーヤー Ever Spin ではセンタースピンドルを2重構造にし、キャップを外すと細くなって、偏芯が大きいレコードでも中心を合わせられる構造で実は試作をしていました。

 さて、規格からすればターンテーブルのスピンドル径は7.05mmから7.15mm、レコードの穴径は7.24mmから7.33mm、レコードの音溝の中心と穴のズレは0.2mm以下が決まりです。しかし、もっとズレているものも存在しますが、上記の数値を基にすれば、ズレの半径はワーストケースで340ミクロンになります。これで生じるワウフラッターは0.15%WRMSにもなり、よくできたターンテーブルの何と10倍以上です。つまりターンテーブルをいくら良くしてもこの偏芯問題を解決しなければ効果には限界があるということです。

 コトの重要さを知ってしまったからには放っておけません。でも、フィデリックスで作るとなると、あのような大掛かりで高価なものは作れません。そこで知恵を絞り、いかにして簡単に解決するかを考えました。それで思い出したのが、ある電線メーカーからの依頼で製造中に起きる不良箇所を検知する装置を設計をしたことです。例えば30芯の電線製造中に途中で29芯になれば即座に動きを止めるというものです。この時の渦電流変化を検出する技術を応用すれば出来そうに思えたので実験したら上手く行くことが分かりました。でも検出結果をどのようにして人に伝えるのか?オーソドックスな方法はメーターですが、私は音で伝えようとしました。動作原理はトーンアームがエンド溝に達した時のカウンターウエイトの横揺れを、音の揺れにするというものです。それで得られたのをYoutubeにアップしたのが矯正前の音矯正後の音です。揺れが少なくなるよう手でレコードを微妙に移動しますが、慣れれば後述するように以外にも簡単です。

 問題は効果ですが、聴いて驚くと共にNakamichiに思わず敬意を払いました。多くの曲は和声学でいう「解決」という安定形の和音で終曲しますが、揺れが無くなると、「解決」での確信に満ちた説得力が蘇ります。揺れがあると演奏者は自信が無くて、迷いが残っているかのように聴こえてしまうのです。また、張り上げて歌うロングトーンは空間の隅々にまでピーンと響き渡るかのような浸透力が再現され、生演奏にはありがちな気配が感じられます。音が違うというよりは音楽の訴求力が違うのです。要するに偏芯で揺れると、音楽がフニャーと聴こえてしまうので、私にとってはもう必需品です。水晶発振器の時間揺らぎさえも問題視して超低ジッタークロックを作り、時間揺れが生じにくい0 SIDE FORCEも作りましたが、改めて時間軸の重要性を認識させられました。

 殆どのレコードは正しいセンター位置が誤差の範囲内に存在するので、それを探すだけですが、稀にどのようなことをしても正しく合わせられない規格外のものがあります。この場合どう考えるべきか?それはレコードに原因があるので、潔くそれを直せば良いのです。具体的にはレコードの穴を少し削ることになりますが、貴重なレコードを削るには抵抗を持つかも知れません。しかし、穴がズレていることに価値がある訳ではなく、むしろその欠陥を直してこそ価値が上がると考えるべきでしょう。規格内のズレであれば最大で0.155mm削るだけで、規格外でも経験からすれば0.3mm削る程度です。
 

 設置はトーンアームがエンド溝に達した位置で、カウンターウエイトの右側0.5mmから1mmほどの隙間になるようセンサーを両面テープで設置するだけです。この距離こそが重要で、高さや角度は大体で十分です。高さ調整はスペーサーの高さ選択でカウンターウエイトとセンサーコイルが大体同じ高さになるようにします。センサー線は細いので切らないよう扱いには注意します。使い方ですが、レコード外周では高いピー音が出て、それが内周の音溝まで続きます。そこからエンド溝の手前3mm付近で一旦低くなり、再び高くなりますが、この部分で使うことを推奨します。揺れが分かり易くてしかも耳障りにならない周波数になるよう取り付け位置を調整します。微調整は金属ネジを緩めての移動や本体裏の穴の+ネジを回すことでも可能です。ピー音は電源スイッチの周りの穴から聞こえ、電源スイッチを押すとオンで、もう一度押すとオフになります。使用電池は9Vの006Pで、消費電流は30mAですが、音がするので電源の切り忘れは無く、長く使えると思います。

 

 修正方法はエンド溝に針を下ろし、指でターンテーブルをゆっくり回しながら、音が高くなる位置と低くなる位置と真ん中の高さを覚えます。低くなる位置の方から指でセンター方向に押し込みますが反対側からも押し合い、音が真ん中の高さになるように微調整すれば中心が出ることになります。厳密に合わせるにはこれをもう一度繰り返しますが、インサイドフォースの関係だと思われますが、右回転と左回転では周波数が変わります。33回転で普通に回してどの角度で高低になるかを覚えて、それから考えて合わせる方法もあります。なにしろ慣れることこそが重要で、慣れればスムーズにできるでしょう。

 精度ですがNakamichiは規格で生じる最大偏芯340ミクロンを20ミクロン以下に減らします。針先よりも支点に近い錘は約5ミクロン動き、ピー音は約35Hz変化します。これは耳で十分に認識できると思いますが、ステレオミニ3.5の出力端子もあるので、例えば周波数カウンター付きDMM のD35(秋月電子通商で\4,400)などを接続すれば、もっと厳密に芯出しすることも可能です。この場合、1kΩと0.01μFのローパスフィルターを通しますが、分解能は1Hzになるので20/35ミクロンつまり1ミクロン以下も計算上は検知できることになります。音感の優れた人達は偏芯があると船酔いするみたいだと言いますから、そういう人たちには絶対的に必要なモノだと思います。アナログレコードを拘ってデジタル化する際にも必需品かと思います。

 写真の説明 周波数カウンター機能付きDMMの例 右から2番目は秋月電子で\1,200のDT-10A

 特許申請は終わり、研究開発費も掛かりましたが、なにしろマニアック過ぎてニーズが読めないのですが、とりあえず2色での限定数は全100台で税別\46,700で送料一律\644の総額\50,000が予定価格で販売させていただきます。高額ターンテーブルが見過ごしていた問題を解決した、現時点では世界唯一の製品ですが、Nakamichiと比べれば格安での予約を承ります。売れ行き次第では100台限定で終わってしまう可能性もあることをご了承願います。そのため、とりあえず直販優先のテスト販売とさせていただきます。予約は郵便番号、住所、お名前、電話番号、希望色の連絡をお願い致します。希望色に答えられるのは早い順になってしまいます。量産品が出来上がるのは8月末頃の予定で、その時点で送金依頼の連絡をさせて頂きますが、完成すればこのページの先頭に告知もさせていただきます。送金先:三井住友銀行清瀬支店普通口座3064084有限会社フィデリックスです。mail: info@fidelix.jp

 PS これをNakamichiの設計者たちに説明したら、「へーそんな方法で出来るんだー」と驚いていました。また、エンド溝はプレス後の変形で楕円っぽくなるそうです。なお、レコードの穴を修正するために、桶状のようなものの上で削れるよう、ダイヤモンドヤスリも100台には付属致します。取説はこのページと同内容なので付属しません。(2017年7月29日)
  

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