お知らせ FIDELIX製ヘッドシェルのMITCHAKU-A/S/Zの3機種がオーディオアクセサリー銘機賞2019の栄えある特別賞を頂きました。
MITCHAKUヘッドシェルは大好評につき、色んな要望が寄せられ、それによってバリエーションも増えました。要は長くと軽くと硬くです。長くはカートリッジの頭が出るのが気になる方からの要望で、軽くは、ハイコンプライアンスカートリッジへの対応です。硬くはSAECやJVCなどのセラミックヘッドシェルを使っている方々からの要望です。
そこで、軽く長くしたものがMITCHAKU-L。軽くだけしたのがMITCHAKU-K。セラミック製でアルミの中間金具がMITCHAKU-A。ステンレスの中間金具はMITCHAKU-Sです。また、SAECのWE-8000/ST用の角度付きヘッドシェルはMITCHAKU-Wとして作ってみました(SAECのULS-8Xの代用品)。この角度を逆にしたのがMITCHAKU-0です。これは曲がったアームでもピュアストレートアームの効果が得られますが、アームの取り付け位置を約30mm後方に移動できる場合に適合します。アームごとの微妙な角度の差はカートリッジの取り付け角度で調整します。
写真左からMITCHAKU、MITCHAKU-L、MITCHAKU-Kで下も同じ。
写真左からMITCHAKU-A、MITCHAKU-S
MITCHAKU-W、MITCHAKU-0
MITCHAKUの原理ですが、普通のヘッドシェルは上にある1本のピンをアームが引き込みます。でもすぐ下は4本の接点で押されているので、口金の下側には必ず隙間ができます。要するにグラグラな状態です。これを見えなくするためにゴムリングが使われますが、グラグラであることに変わりはありません。では上下2本で引き込めば良さそうに思えますが、実際に隙間の裏から光を当てながらルーペで観察すると、ピッタリとは意外にいかないのです。理由は加工精度であったりピンの曲がりや、リングのすり減りが原因です。この隙間はたったの1ミクロンであっても音響的には立派な隙間となります。
ですから、上下の中心を引き込めば良いことになりますが、中心は存在しません。そこで横ピンを入れて作りました。それを上下ピンの真ん中で引き込むのです。シーソー構造になっているので誤差はここで吸収されます。これによってヘッドシェルのリング部とアームのリング部が完全に密着します。これはトップウイング社ですでに採用されております。このように口金同士はしっかり密着しますが、アームによってはぐらつく場合があります。原因はアームのパイプとアームの口金との間のぐらつきなので、アーム側の問題です。
0サイドフォースのパイプの先端形状は写真のように縦長になっています。これはわざと左右を強く挟んで縦長にしています。そこに無理矢理広げて口金を押し入れると、この時点で左右から挟みつけられています。さらに下からねじ2本で止めることでより強く挟み付けられると同時に、上下左右の動きさえも止めてしまいます。ちょっとしたノウハウですが、これにより0サイドフォースとMITCHAKUは実にしっかりと固定されます。これでヘッドシェル一体型アームと同等の強度が得られます。欧米ではそのため一体型が良いとされていて、高級品の多くは一体型です。でも、パラヴィチーニ氏から聞いた話ですが、海外で展示会をするとユニバーサル型アームだとカートリッジの盗難があるので、一体型にしているとのことでした。本心ではヘッドシェル交換できるのも実は使いたいそうなのでMITCHAKUは今後益々期待できそうです。
中央がパラヴィチーニ氏で左が奥様の吉野様、右が中川 伸で私
セラミック材はアルミナなのでSAECのULS-3Xと同じで、ルビーやサファイアの親戚に当たります。 セラミックといえども水平部分を長くすると共振を起こし易いので必要最小限の形状にしています。これはFRやIKEDAの創立者である池田勇氏から直接に教えて頂きました。このことは経験的にも納得していたので、テクニカのLHシリーズを2ピンに改造して使ったりしていました。指かけは厚みを2.5mmにして、やはり共振対策をしています。薄いと鳴きやすいので、逆に鳴かせたいハーモニカのリードやオルゴールの櫛歯などは薄くなっています。その他の特徴として、リード線はPCOCCをアニール処理したPCOCCAです。アームとの接点は耐久性に優れたロジウムメッキで、ヘッドシェルの角度は調整可能になっています。
重量と抑え気味の価格は次のとおりです (税送料別) 。
MITCHAKU 16g \12,000 ベーシックモデル連絡先 info@fidelix.jp 204-0022 東京都清瀬市松山2-15-14有限会社フィデリックス
送金先 三井住友銀行清瀬支店 普通口座 3064084 有限会社フィデリックス
PS ねじの締めすぎにはくれぐれもご注意願います。オーディオマニアはとにかくねじを強く締めがちですが、締めすぎると破損するだけではなく、音の自由さも損ねて萎縮した音になりがちです。適正トルクを意識するようお願い致します。
(2018年7月26日)