CAPRICEで32bit/384kHzの再生を確認 | 中川 伸 |
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CAPRICEで32bit/384kHzを再生することが確認できました。音源はノルウェーの2Lからダウンロードした24bit/96kHzのWAVEファイルや、Cheskyからの24bit/192kHzです。
http://www.2l.no/hires/index.html
これを以下のソフトで4倍や2倍にアップサンプリングしますが、384000と打ち込む必要があります。
http://www.voxengo.com/product/r8brain/
この32bit/384kHzのWAVE ファイルをSDカードに書き込みます。送り出し機器はSDTrans192 Rev3.0のファームウエアをアップデートしたものです。
http://www.chiaki.cc/Transport/sdtrans192.html
このI2S出力をCAPRICEに入れますが、設定はディップスイッチ2と4を外にします。つまりDPLLのバンド幅はMidでオーバーサンプリングフィルターはオフです。因みに352.8kHzだとオーバーサンプリングフィルターはオンとオフの両方で動きます。これで44.1kHzから384kHzのPCMと、2.8MHzと5.6MHzのDSDによる動作が確認できたことになります。
さて、当社の出荷検査ではSPDIFの44.1kHzはLowestで全数が安定に動くことを確認しています。しかし、I2SではMidにする必要があります。海外サイトによる情報でも似たような結果です。そこでESS社に問い合わせてみました。するとI2Sのバンド幅はSPDIFのバンド幅に比べて1/64に狭くなっているということでした。つまりLowest->Low->Mid Low->Midは2倍ずつ広くなるという関係なので、I2SのMidはSPDIFのLowestに比べ1/8に狭くなっているということです。これを聞いてようやく納得できました。
ところで、第2ロットまではほぼ問題なかったのですが、最近になって、Lowestではロックしないがどうして?という質問がいくらか増えてきました。どうやらPCを使って音楽再生する方々が増えてきたことと関係があるものと思っています。PCのスイッチング電源からのノイズが混入してジッターが増えるのではないかと想像しています。現にそのCAPRICEを送ってもらっても、当社条件ではLowestで全く安定にロックします。
また、複数のトランスポートでテストした結果なども報告されるようになってきました。SPDIFでMidにしてもロックしないというトランスポートの報告が3件寄せられています。これらは同じメーカーで、しかも安くはない製品でした。ある雑誌でジッターのテスト結果が紹介されましたが、良いとは決して言えないものでした。また、SDTransをスイッチング電源だとMidにしなくてはならなかったが、単三4本に換えたらLowestでロックするようになったとかです。このようにCAPRICEはあたかもトランスポートと電源ノイズの品質検査器であるかのようです。
しかし、44.1kHzのLowestで初めはロックしなかったが、数週間たったら安定したということも何件か報告されています。おそらく水晶の振動がし易くなってQが上がったことも考えられます。オーディオ用の水晶は99.9%以上がATカット、残りがSCカットでしょう。SCカットは80℃付近で温度係数が0になるので、恒温槽に入れて使います。ATカットは0.1mmの厚さで約16MHzですから、CAPRICE用は32MHzなので約0.05mm厚ということになります。これを3倍オーバートーンで発振させて96MHzで使っています。3倍オーバートーンだとQは9倍、5倍オーバートーンならQは25倍という関係になります。振動モードは厚みすべり振動なので、偶数次では変位差が出ないので発振しません。オーバートーンは上手く発振する水晶とそうでないものがあり、13種類の型番をテストして選定しました。採用したのはオーバートーン用に設計されたものではないので、CAPRICEに組み込んだ時点で、初めて96MHzの発振をします。このためエージングには余計に時間が掛かるのかも知れません。
さて、前回書き忘れましたので配信されたDSDファイルの聴き方の追記です。主に2つの方法があります。第一の方法はダウンロードしたファイルをAUDIOGATEでDVDディスクにDSD disk formatとして焼き、これに対応したSACDプレーヤーで再生します。SCD-XE800などです。このプレーヤーを改造して、DSD−RAW信号を取り出し、CAPRICEのDSD仕様へ入れれば大変に良い音で聴こえると思います。DSDもバンド幅は1/64になるのでMidにしないとロックしません。第二の方法は以前に書きましたが、USB DUAL AUDIO 基板を使い、これを購入すると使うことができるPlayAudio.exeというソフトを使ってDSD-RAW信号をCAPRICEのDSD仕様へ入れる方法です。2011年6月18日