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USBバスパワーの電源品質について 中川 伸

 年々、PCオーディオが盛んになってきていますが、それに伴ってUSBから供給されるオーディオ機器も多くなってきています。マニアの間ではUSBバスパワーは音が良くないということが言われていますが、私もUSB経由のオーディオをやる羽目になってしまい、そのことを実感するようになりました。そこで音の良いACアダプタを作る事になり、出力ノイズが1μV以下というような試作品を仕上げています。ところが、ひょんなことからUSBの電源品質に疑問を持つようになり、実際に調べてみました。そうしましたら、オーディオ的には驚くべき品質の悪さです。以下に写真を掲載いたします。プローブは1:1で、縦軸は2mV/Div、横軸は100mS/Divです。5種類のPCで計り、左上がMACbookで、右下のものがフィデリックス製のACアダプタですが、この電圧はほぼオシロスコープの残留ノイズ相当なので、この1000分の1がACアダプタの実質的なノイズということになります。

 まあバスパワーのノイズは色々ですが、おおよそ3mVとみて-50dBくらいでしょうか?一般の7805といった3端子レギュレータは-94dB、フィデリックス製の3端子レギュレータは-124dB、CAPRICEのクロック用電源は-130dBですから80dBほど電源ノイズが多いので、なんと1万倍も多いことになります。それも不定期にガタゴトと動いている感じです。  そもそもUSBのバスパワーはHDDを回す程度にしか考慮していないと思われます。またUSBで動かすオーディオ機器も、音が出ればOKみたいな感覚だったことでしょう。バスパワーで動かすDDCはまさかこんなに悪い品質で高度な音質を要求されているとは思ってもいなかったのではないでしょうか?  実は電源ノイズの品質を調べるきっかけはCAPRICEというDACのLowest という非常にシビアな条件を要求するポジションでの動作が、同じDDCを使っていても、安定している場合と、不安定な場合があるので、DDCではなく、そこに供給している電源品質に原因があるのではなかろうか?と予想して調べたものです。結果を見ればほぼ大当たりではないかと思っています。オーディオ機器では悪くても7805クラスを使いますので、バスパワーはそれより44dB(150倍)も多いことになります。ずっと悪いのは当然でした。

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