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超低ジッター水晶発振器(クロック)の製作3 中川 伸

 クロックのジッターによる悪影響を分かり易く例えれば、扇風機の前で「アー」といえば風ゆれで「グワー」に聴こえるようなものだと前回に説明いたしました。クロックジッターの周波数成分は発振器を構成するアンプの、f分の1ノイズがCN特性(キャリアとノイズの比)となってそのまま出てきます。CN特性はアンプの歪特性と同様で、使用する測定器の性能によってかなり左右されます。そのため、同一条件でないとなかなか公平な比較はできません。また、高性能な測定器は1千万円近くもするのでとっても高価です。
 しかし、ジッターの主原因であるアンプノイズについては性質がほぼ分かっているだけに、おおよその見当はつきます。安定した中域におけるノイズ量はデバイスの伝達特性にもよりますが、gm分の1付近の抵抗ノイズ(4kTBRの平方根電圧)に収束します。そしてf分の1ノイズはデバイスによってターンオーバー周波数がほぼ決まり、MOSデバイスはバイポーラトランジスタと比べて2桁ほど高い周波数になります。一般にMOSデバイスは数kHzで、バイポーラトランジスは数十Hzなので、40dB程度多くなるのが普通です。バイポーラトランジスタの発振器をさらに良くする方法もありますが、これはノウハウでなのでご勘弁下さい。逆に言えば、これまで40dB以上もジッターの多いクロックを普通に使ってきたと言えます。そういったこれまでのデジタル機器はクロック交換することで本来の能力を発揮させるものと考えております。
 新型クロックは特許出願も終わり、基板も完成しましたので、いよいよ販売できる段階になりました。「超低ジッター水晶発振器(クロック)の製作1」で試作した最初の基板は、5Vの16.9344MHzのみで、しかも在庫部品などを利用しましましたので、5,800円での配布が可能でした。その後、3.3Vへの対応や68MHzまでのさまざまな周波数への要望がありましたので、新たな回路を開発する必要性が生じました。また、販売店経由での販売など、流通経路も広がることになりました。
 そこで回路の改良などから計3度に及ぶ基板製作や、自動マウンターのプログラムを組むなどの諸事情も重なったので、価格も変えざるを得なくなってしまいました。
 新型クロックの「Pure Rhythm1」は31,500円で、2つの電源入力があり、どちらか一方を使用します。8Vから16Vの高電圧入力側はQポイントを利用した超ローノイズ電源を経由し、さらにRCフィルターも経由します。もう一方は3.3Vから5V入力でRCフィルターを経由する低電圧入力側ですが、どちらかの入力で使用します。
 この簡略版として3.3Vから5V入力でRCフィルターのみを経由する「Pure Rhythm2」は19,950円です。いずれも回路定数が30MHz以上に向いたHタイプと、30MHz以下に向いたLタイプの2種類の基板があります。勿論、出荷時は合わせていますが、後からその範囲内なら水晶を交換すれば、周波数を変更することもできます。
 現在、水晶をストックしていて、対応可能な周波数は
 67.7376MHz 45.1584MHz 33.8688MHz 27.0000MHz 24.5760MHz
 22.5792MHz 16.9344MHz 12.2880MHz 12.0000MHz 11.2896MHz
 10.0000MHz 8.4672MHz(近日中)です。
 あくまでも本製品は技術に明るく、「超低ジッター水晶発振器(クロック)の製作1」が理解でき、作業もできて改造リスクを覚悟できる方のみに向けたものです。しかし、約20万円以下の現行機種であるなら、機種名と事情によってはフィデリックスで組み込むことができるかも知れません。クロック基板はメール便で発送させていただきますので送料不要です。振込み先は「三井住友銀行 清瀬支店 普通口座3064084有限会社フィデリックス」です。
 なお、「超低ジッター水晶発振器(クロック)の製作1」の写真のものは5Vの27MHz以下で動作をさせるなら、新型とほぼ同等のジッター性能になりますが、適応範囲が狭いため、今後の生産予定はありません。(2009年12月23日)

 ジッターの補足としての10MHzルビジウム発振器の分かり易い原理
 ルビジウムは6,834,682,612.8Hzで極めて正確な共振をします。PLLで調整することによって、常にこの約7GHzの共振周波数にぴったり合わせる動作をさせています。ちなみに、より正確なセシウムは少しだけ高い9,192,631,777Hzです。これらは他の周波数では動きません。いずれにせよ桁違いに高い周波数なので、このままではデジタルオーディオ用クロックとして使うことができません。
 そこで、この確かな周波数を基準にし、10MHzの水晶発振器を微調整するのが10MHzのルビジウム発振器です。10MHzで動いているのはまぎれもなく水晶発振器そのものです。当然ながら長期の正確さは極めて優秀ですが、ジッター性能の良し悪しは、あくまでも、この10MHzの水晶発振器(VCXO)次第ということになります。従って優れているものもあれば、そうでないものもあるので、ルビジウムだから超低ジッターということは言えません。もしも原理内容までをも正確に表現するならば「ルビジウムによる校正機能付き水晶発振器」かも知れません。

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