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FFTによるクロックのジッター測定 中川 伸

 繰り返し波形はFFT(高速フーリエ変換)によって周波数成分の分析が可能です。なぜ高速が付くかといえばオーソドックスな方法に対し、無駄を省く工夫によって高速化したからです。詳細は専門誌をご覧になってください。
 さて、無限の時間は解析ができませんので、有限時間だけの波形を切り出しますが、この切り口の不連続性が問題となります。そこでフェードインしてフェードアウトしますが、このカーブによって性能が全く異なります。このカーブのことを窓関数といってそれぞれに名前が付いています。基本的には周波数分解能とダイナミックレンジはトレードオフの関係になり、このサイトに分かりやすい説明がありますので、そこから引用させて頂きました。

 ご覧の通り、違いは一目瞭然で、これらは用途に合わせて選択されます。クロックのジッター測定には170dBものダイナミックレンジが得られる7Team Blackman Harrisが向いています。Audio Precisionは独自に開発したEquirippleという窓関数で、7Team Blackman Harrisを改良した感じに見えますが、まずまず似た特性だと思われます。
 では、どうしてこんなダイナミックレンジが測定できるのかという素朴な疑問が沸いてきます。ノイズの分布が一様だとすれば、帯域幅が半分になれば3dB下がります。7Team Blackman Harris によるFFT解析は実質的にかなり狭くなるのでグンと下がります。しかし、測定限界はあります。一般に測定器や測定技法が向上すれば被測定物の真のデータに肉薄すると考えて良いでしょう。ジッター測定の場合もひずみ測定やSN測定と同様です。ひずみやSN測定には概ねルールがあり、これに詳しい人が高性能な測定器を使用したときに正しくて優れたデータに収束しがちです。もしも真の値を越えるなら、それは正しくない測定です。今回のFIDELIXによるジッター測定はほぼstereophile 方式に準じていると考えて構わないでしょう。229Hzの高調波レベルがとっても参考になり、AudioPrecisionにかなり似ていますので十分実用になります。いずれにせよ少なくとも同一条件ならば優劣比較は可能です。(2010年10月23日)

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