セリニティー電源のライセンス契約またはOEM供給について | 中川 伸 |
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「セリニティー電源を販売することにしました。」を当サイトに記載しましたら、早速、何名もの自作派の方々から注文がありました。また、秋葉原のオーディオ部品販売に力を入れている海神無線さんからも販売したいというお申し出がありました。ありがとうございます。しかし、更に驚いたのはセリニティー電源を使ったアンプをぜひとも販売したいという連絡があったことです。勿論、答えはYESなので、ライセンス条件を決めさせて頂いた上で、実行することが早々と決まりました。また、フィデリックスのサイトに、このことを記載しても良いということになりましたので、その範囲で載せさせて頂きます。
フィデリックスはすでに幾つかの技術について、何社かに特許のライセンス供与をさせて頂いておりますし、当社の技術が使われることで世に役立つなら、これもまた、ありがたい事だと思っております。
そこで思い出したのが、ライセンス契約した会社の知的財産部の責任者から聞いたことですが、さる関西の大手家電メーカーは、どこからかライセンス許諾の依頼があっても、原則は断らない方針であると聞きました。その創業者いわく「自社の特許といえども、先人の知恵の上に成り立っている人類共有の財産だから、ライセンス料は頂戴するものの許諾そのものは断らない。」とのことでした。弊社もそうあるべきだと思ったので、同様の姿勢で対応をさせて頂いております。
そもそもセリニティー電源を考えたのは、オーディオにスイッチング電源を使うと、そのEMCノイズはシステムが複雑になるにつれ加速度的に音質上の不都合さを増大させます。このことに危機感を覚えたからこそ超ローノイズのセリニティー電源を開発したというのが経緯です。つまり、オーディオ用途でスイッチング電源を使うならぜひともこれ!という思いで究極の超ローノイズ性能を追求して出来上がったものです。これは東京都による外国出願助成事業に選ばれ、日欧米に出願し、米国特許は7272019として登録されています。
この超ローノイズ性能は、オーディオ機器以外に、医療機器、無線機器、測定器などに使用可能だということで、今、以下の仕様のものを開発しています。入力は85V〜264Vで50/60Hz、出力は24V12.5Aの300Wです。
擬似共振のフライバック型PFCと組み合わせることで制御を可能にしたので、セリニティー電源の欠点をシステム構成で補ったことになります。ここには書きませんがリップルを無くす工夫も加えての製品化です。フライバック型PFCなので突入電流はありません。実はこの開発のついでといっては何ですが、簡単な仕様のものもおまけで開発し、自作派向けに遊び心で「セリニティー電源を販売することにしました。」を記載しました。そうしたら、それがきっかけとなって、セリニティー電源は予想以上の順調さで本来の用途であるオーディオ製品に使われそうです。2009年6月29日