アンプのSN比測定に便利な IHF Aカーブのアダプター | 中川 伸 |
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これは1976年7月号のラジオ技術誌に私が発表した回路です。そのためノイズ理論の詳細はそちらをご覧になって下さい。アンプのSN比表示方法はまちまちだったので、混乱の生じない表示方法として当時に提案したものです。たとえば定格入力電圧が1mV(-60dBV)でSN比70dBのイコライザーアンプと、定格入力電圧が
2mV(-54dBV)でSN比76dBのイコライザーアンプに同じカートリッジを接続すれば、一見SN比が異なっていても同じSN比になります。しかし、入力換算雑音電圧で表示すれば、どちらも-130dBVということになって混乱は生じません。また、アンプの回路設計にノイズフィギュアを持ち込むと、高周波の回路設計屋さんは良いのですが、低周波の回路設計屋さんは「ノイズフィギュアーの最小点がノイズの最小点」と誤解している人も結構いましたので、等価雑音電圧と等価雑音電流に分けて考えるなら誤解が生じないということで記事にしたものです。
この時に、アマチュアでもノイズ測定ができるようにと、IHF Aカーブのアダプターを設計しました。この特徴は
1)入力換算雑音電圧が-130dBVと低く、電流性ノイズでもイコライザーのアウトやプリアウトやスピーカーアウトに接続する限り問題の無いローノイズです。
2)ゲインが1kHzで40dBと高感度で使いやすい。
3)BL-006Pの電池を使用しているので簡単であり、ハムを引く心配も無い。
4)電池の電圧に対し、わりとゲインが安定している。
といった理由から非常に便利に使えます。ノイズ測定ではレベルがフラフラしますし、0.1dB単位の精度が必要な訳でもないのでので、実質的にはこれで充分です。回路は以下に示すように簡単ですから、アンプを作る方なら製作しても楽しいでしょう。