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STACCATOというエレクトロスタティック型ヘッドフォン用のドライブアンプを作りました(新製品\168,000)。 中川 伸

お知らせ STACCATOはこのページで発表して以来、お陰さまで、順調に予約が入っております。オーディオアクセサリー176号の146ページでは角田郁雄氏によるレポートが掲載されており、288ページにはLEGGIEROやLIRICOについても書かれております。また、LIRICOはstereo誌 2月号の 120ページでも福田雅光氏によるレポートが掲載されました。 なお、STACCATOは近日中に発行される無線と実験でも取り上げられる予定になっております。 スタックスのヘッドホンについては、SR-009Sを含む最新型3機種を購入予定で、それらについても私の感想を記載する予定です。ではよろしくお願いいたします。(2020年2月25日追記)

STACCATOの特徴はクリーン・バイアス・テクノロジー(CBT)という特許出願中(PAT.PEND)の技術によって極めて純粋なバイアス電圧を得たことにあります(特願2019-205816)。勿論、私のこだわりであるオールFETの完全DCアンプで、クラスAのリアルタイムBTLでもあります。

CBTの説明ですが、バイアス電流は殆ど流れないので、ここでのリップル電圧は殆んど出ません。アンプ側は消費電流による電源リップルを生じますが、通常は差動アンプなので2つの出力間には出てきません。もしも、ここに出ればハムとして気付くからです。しかしアースに対するコモンモードのリップルは意外に出ています。これはバイアスにリップルが加わったのと同じ動作になるので変調歪みを生じます。バイアス電圧が半分になれば、音圧は6dB下がる関係にあるのでAM変調されるのです。 安定化電源を使えば良いのですが、高電圧部分では大掛かりになるので、殆ど使われれてはいません。

この盲点ともいえる問題点を改善したのがCBTで、アンプ側にリップルが存在するなら、同量をバイアス側にも加えることによって引き算した真のバイアス電圧はクリーンになるというのが基本原理です。これにより圧倒的に澄んで繊細でありながら生々しい音が得られるようになりました。

作った経緯
私がコンデンサーへッドフォンと出合ったのは1972年のことで、縁が有ってSTAXのコンデンサー型ピックアップ用アダプタPOD-XEのブースターアンプの設計を依頼されたことが始まりでした。その時にSR-5とSRA-3Sも渡され、この音の素晴らしさに私はすっかり魅了されました。まもなくSR-X Mark Uに移行しました。 その頃に敏感なコンデンサースピーカーを鳴らすためのアンプとしてA級DCで150W×2のDA-300も設計しました。ここで得たA級DCの素晴らしさを取り入れ、ヘッドホンのドライブアンプを作ったのがDCアンプ構成のSRA-10Sでした。以上の2機種は初段がFETの差動アンプです。

しかしFETの音が好きな私は、オールFETでアンプを作りたかったので、必要なPチャンネルFETについて調べたら、アメリカのsiliconix社から、2N2608が主に軍用品として存在していたことを知りました。価格も日本のNchに比べて10倍以上は高かったです。こんなPchFETを4個も使ったオーディオアンプはおそらくSRA-12Sが最初です。というのは安価なPNPトランジスタでも特性的には十分な性能が得られたからです。

これでイコライザーとフラットアンプはオールFETのDCアンプ構成になり、ヘッドフォンドライバーの最終段と初段のカレントシンクだけがバイポーラトランジスタとして残りました。 音は自分でも、なかなかの良い出来だと思えましたが、この評判はプリアンプとしてもすこぶる高かったのです。 SRA-12Sは1975年の設計ですが、その後にINTERSIL社から2N5465が少し安価で普通に入手可能となり、アンプの製作記事にも多く取り上げられるようになりました。

FETとバイポーラトランジスタの音の違いは、初段程大きくて最終段では少なくなりますがそれでも差はあります。どのように異なるかと言えば、高域の質感に現れ、FETは潤いがあって瑞々しいが、バイポーラTrはいくらか乾燥気味で少しだけそっけなく聴こえる場合もあります。文字にするとやや大げさになりますが、私のようにバイオリンやソプラノ好きにとってこの質感はとても重要です。同じ回路でFETとバイポーラTrを入れ替えると低域の力感はバイポーラTrの方が良くなることも多いですが、回路に工夫を加えればFETでも力感は出せます。

コンデンサー型ヘッドホンは、過度な大音量は得意ではありません。アンプを強力にすれば良さそうですが、ヘッドホンを壊す恐れがあります。そこで写真の様にクリップを目立たなくするソフトクリップ技法を導入しました。クリップが目立たないので経験的には2dBほど最大音量をアップできます。キャリア蓄積効果を生じないMOS-FETによって上手く実現しました(写真下の左側)。100:1のプローブによる測定ですが、ほぼ400Vrmsが出ています。

100pF負荷時の100kHzに於ける方形波応答はかなり綺麗です。(写真上の右側)

その他の特徴

電源トランスまでをも左右独立構成とし、リーケージフラックスをキャンセルすべく逆向き接続し、ダイオードアイソレーター方式により、実質的に左右のアースまでもが完全分離となる構成です。

XLR入力は、通常設計だと4連ボリュームが必要になりますが、2連ボリュームで使用可能な回路にしたことで、ボリュームによる、音質への影響を半減しました。

主要な抵抗は米国PRP社の非磁性抵抗を、負荷抵抗はVISHAY社の酸化金属皮膜抵抗を並列使用し、コンデンサーはPPSを採用。

電源はシンプルな± 300V電源のみで構成し、整流ダイオードにリカバリーノイズを生じないSiCを使用。

コネクターとリレーの接点を排除することで、長期間使用した場合の接触不良や、音質劣化を無くしました。

天板を放熱器として使用するなど巧妙な設計により、小型軽量安価にて究極性能に挑みました。

そもそもは自分が使い続けたい製品として企画したのですが、これならリファレンスとしても使えるとの自信が持てる出来栄えになりました。 遠くの景色が見通せるかのような透明感と低音楽器の輪郭が明瞭になってリズム感が生き生きと出ます。まさしくスタッカートの名前に相応しいと思いました。コンデンサーヘッドフォンの真価を発揮するヘッドフォンアンプが誕生したと思います。

暫定仕様
型式 オールFET完全DCアンプ クラスA&リアルタイムBTL
周波数特性 DC-300kHz 100pF負荷
増幅度 58dB
入力インピーダンス 20kΩ RCA&XLR
最大出力電圧 約400Vrms1kHz
バイアス電圧 約580ボルトのプロバイアス
入力 RCA×1,XLR×1
電源電圧と消費電力 AC100V 約30W
外形寸法と重量 150W×50H×280D 約3kg

購入の仕方。この機種に使われているFETは、一部が製造中止品です。そのため、製造台数には限りが生じる可能性がありますので、関心を持たれましたなら、販売店様か、当社へご連絡の上、お早めのご予約をお願い致します。 こういった他社製品向けアダプターであっても工業所有権に抵触しなければ販売は自由です。例えばiPhone用のカバーも色んな所が自由に作れています。(2020年1月27日)

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