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ヴァイオリンのスペクトルを測りました 中川 伸

 あるコンサートマスターにお願いし、ヴァイオリンのスペクトルを測らせて頂きました。約300年前にイタリアで製作された非常に状態の良い名器なので、家は十分に買えるような価格でしょう。 CDフォーマットと同じ44.1kHzの16ビット収録なので、グラフの最高周波数は22.05kHzです。弦の基本波とその高調波成分の存在は当然として、弓でこするランダムノイズ成分が、さらに混ざっていることが良く分かります。このランダムノイズはピンクノイズ(-3dB/oct)によく似た傾斜を持っていて、20kHz付近ではすでにランダムノイズの割合が意外なほどに多くなっています。30kHz以上では殆どがこするランダムノイズになるでしょう。 このように超高価な楽器であってもアコースティック楽器の20kHz以上は、自然界には多く存在するピンクノイズに成分がとてもよく似ていますので、切り捨てられた超高域はハーモネーター方式のようにピンクノイズでもって修復できるという訳です。フルートなどの管楽器なら、もっとピンクノイズ成分が多いことでしょう。電話の保留音などの電子音のみが、自然界には存在しないほどに規則的な高調波を出しますが、かといって決して良い音に聴こえる訳でないことは十分に認識しておかなくてはなりません。
 人工的に純度を高めた蒸留水よりも自然なミネラルウオーターの方がおいしく感じるのと同じです。余談ですが、殆ど無音である無響室に入ると、耳が圧迫されたかのような不思議な違和感を持つものです。静けさを感じるためには、ごく小さな騒音が必要なのです。これも意外な盲点で、古くて単純な音響理論では、人の聴覚を説明できません。こういった聴覚に関する基礎的な部分は実験が難しかったため、まことしやかに言われている音響理論の中には、先人の受け売りと想像が多かったと言えるかもしれません。

 動画を見るにはWindows media Playerが必要です。周波数は20Hzから22.05kHzで、ダイナミックレンジは0dBから-140dBです。ファイルサイズの関係から高い圧縮率のため、ビートが混ざったひどい音になっていますが、生音はすばらしく、44.1kHzで16ビット収録もまともな音です。また、オーディオ界では奇数次は汚いなどともっともらしく言われていますが、これも間違いであることがよく分かります。

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