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トーンアームとターンテーブル3 音の違いを聴き比べられるようにしました。 中川 伸

お知らせ FIDELIX製ヘッドシェルのMITCHAKU-A/S/Zの3機種がオーディオアクセサリー銘機賞2019の栄えある特別賞を頂きました。
先ずは復習です。

レコードの溝はピアニッシモで抵抗が少なく、フォルテでは溝の振幅が大きくなって抵抗が増え、この時、前方に強めに引っ張られます。 その場合の曲がったオフセットアームとピュアストレートアームが音の大小における摩擦変化で生じる振る舞いをyoutubeにアップしました。

  offset tonearm

  pure straight tonearm

赤い部分がカンチレバーに相当し、曲がったアームは伸びる余地があるので左右に揺れます。しかし、真直ぐなアームは伸びきっているので、伸びる余地が無くて揺れません。

0 SideForceの音はTo me 0side 1GL、FR-64Sの音はTo me 64S 1GL、Z Shellの音はTo me 64S+Z shell 1GL
1GΩ入力の音はIPANEMA 1GL
330Ω入力の音はIPANEMA 330L

なるべく良い音で比較が出来るよう、5.6MHzのDSDから176.4kHz24bitのファイルにしましたので、比較する場合も出来るだけ良い状態で正確に判断するようにしてください。スマホやPC付属のSPでも雑なちょい聴きは可能ですが、ちゃんとしたオーディオ装置で聴くように願います。

先ずは音源ですが、著作権により1968年以前の録音から選びました。オーディオマニアはジャズ好きが多いので、自分の持っている中から選んでみたら、コントラバスの弓奏法とピチカートが出てくるアメリカプレスのオリジナル盤がありました。有名なオスカーピーターソンのWe Get Requestsからです。50年前なのでスクラッチノイズはご了承下さい。

プレーヤーはアームが2本付けられるCEC のFR-250 を選び、このページにあるアイドラー へ交換し、コンデンサーも交換しています。カートリッジはDL-103Rが3個あるので、比較には何かと便利なことから、これを使い、針圧は2.2gとしました。

フォノイコライザーはFIDELIXのLEGGIEROですが、これは入力インピーダンスが1GΩと330Ωが選択可能で、この違いも聴き比べができるようにしました。LEGGIEROのRCA出力からモガミ電線の2803 を経由し、KORGのMR-1000のTRS入力に入れて5.6MHzのDSDで先ずは録音をしました。MR-1000はSSDに交換し、eneloopによるバッテリー動作です。これを基に176.4kHzの24ビットへAudioGateで変換しました。192kHzも試しましたが48kHz系よりも44.1kHz系の方が明らかに親和性が良くて僅かな濁りも少ないです。

さて、アームの違いは聴けばすぐに分かりそうな差です。1局目はYou Look Good to Meで、ピアノの低い音は特に分かり易いです。打鍵音も鮮やかですし、全体にもたつく感じは無く、生に近いストレートな感じです。因みに、トラッキングエラーは最も大きい筈の最外周です。曲がったアームを作らなくなった理由が分かって頂けるのではないでしょうか?

入力インピーダンスによる音の違いも次のバンドの曲 The Girl from Ipanema で聴けるようにしました。1GΩだと響きが豊かで余韻がよく伸びる感じがします。そのため、抑えられた感じがなく自由で伸び伸びしています。このGΩ受けについては、1週間ほどの間に、このページの下に続けます。(2018年10月13日)

そもそもMCカートリッジの入力インピーダンスを極端に高くすると音が良くなると言い始めたのは、多分、金田明彦氏が最初で1980年代の後半頃です。私はCDが発売された1982年をきっかけに、一生涯で聴くためのLPを集め始め、それをスタックスのヘッドホンで聴きながら作業をしていました。中古LPなので、普通に痛みや汚れがあるので、安定志向のDL-103系を針圧2.2グラムで使っていました。丸針のため、汚れが付きにくかったのは、都合が良かったです。

この頃に使っていたプリアンプはFIDELIX製のLZ-12ですが、MM入力でも入力換算雑音電圧は-140dBVという少なさです。DL-103系は出力が高いので、その47kΩ受けを好んで使っていました。この程度のハイインピーダンス受けは既にやっていましたが、それ以上は未経験でした。 金田明彦氏の記事はその後のことですが、約680kΩ以上だと発振したようでした。私もLZ-12MCで試みたら100kΩ位で発振した記憶があります。これらは位相補償の問題ではなく、カートリッジのインダクタンスによってLC発振器になってしまうのです。

1991年頃ですが、MCR-38の開発のため、発振しない回路にして聴き比べをしました。100、1k、10k、100k、1M、10Mと、ここまでは普通に入手できました。100Mはシリコン受光素子の電流電圧変換の仕事で使っていた抵抗を使い、3.9ギガはコンデンサーマイクの回路設計の依頼もあったので、このバイアス供給抵抗を使って実験しました。不思議な事に、天井知らずで大きくすればするほど確かに情報量が増えて好ましく思えました。さすがは金田氏です。これは電気回路の常識では説明できない何かがあるとしか思えません。

1992年発売のMCR-38には100Ωとの切り替えスイッチも付けましたが、ほとんどの人が3.9ギガΩで聴いています。現行製品のLEGGIEROは1ギガΩですが、これ以上の値は抵抗の価格が急に高くなるからです。因みに入力換算雑音電圧-156dBVは現行製品では世界最高性能だと思います。これもやはり330Ωよりは1ギガΩで聴いてる人がずっと多いです。

試聴用ファイルを聴いてお分かりの通りギガΩ受けは細やかな信号がよく出るようになります。このことからすれば、微小信号の再現性が良くなるので、1番目は接点の影響を受けにくいのではないかという推察です。 2番目はバルクハウゼンノイズの発生を減らす作用があるのではないかという推察です。 3番目はサテン音響が主張していたように電磁制動が関係しているのかもしれません。 以上のことにまで踏み込まないと、この現象は説明ができないように思います。常識ではインピーダンスによる音の変化は上手く説明できないのですが、経験的には低いより高い方が私にとっては情報量が多くて好ましいです。

ギガΩ受けをするにはローノイズJFETが必要となります。また、外来雑音を受けにくくするためにはコンプリメンタリーが望ましく、それには有名な廃品種である2SJ74と2SK170が必要になります。そしてLC発振しない回路構成にしなくてはなりません。LEGGIEROは貴重な廃品種を使って唯一のギガΩ受けを実現しているので、この音に興味を持たれましたならパーツのストックが無くなる前に入手しておくことをお勧めします。余談ですが、この貴重な廃品種を集めてアメリカのConstellationaudio はOrion というフォノイコライザー(\11,800,000の税別)を作りました。全世界で30台限定だったそうです。この廃品種は粗悪な偽物まで出回る程です。

ここでインピーダンスについては多くの誤解があるので説明いたします。先ずはMCトランスの誤解です。MCトランスはインピーダンスマッチングしていると勘違いしている方が殆どでしょう。MCトランスの設計で最初に決めるのは昇圧比で、大体10倍から40倍です。仮に20倍だとすればインピーダンス比は20×20で400倍になります。2次側を47kΩとすれば400で割った117Ωが1次側の正しい入力インピーダンスになります。次にターン数をどう選ぶかですが、多く巻けば低域が良くなり、少なく巻けば高域が良くなります。帯域バランスが取れる巻き数はカートリッジのインピーダンスで異なるので、そこで適したインピーダンス値を実はトランスに表示しているのです。電気的な真のインピーダンスではなくて、推奨するカートリッジのインピーダンスを表示しているのは、一般ユーザーに分かりやすくするためです。これが誤解を招いているのですが、インピーダンスはマッチングしていないし、させる必要もないし、マッチングさせれば良いというものでもありません。 以下は雑誌用の広告ページなので参考にしてみてください。ではよろしくお願いいたします。

PS このページでリンクしている音声ファイルの影響だと思われますが、LEGGIEROや0 SideForceやMITCHAKU-Zへの注文が多くなってきています。台数に限りがあるのはLEGGIEROなので、迷ったらこれをお勧めいたします。(2018年10月22日)

  
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