オーディオに最適な高音質スイッチング電源(セリニティー電源)誕生! | 中川 伸 |
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私はオーディオ技術とアナログ回路が専門ですが、多くのAV機器も使っていたので待機電力が気になっていました。そのため1997年に待機電力が0.1W以下という画期的な電源を開発いたしました。当然ながら商用周波数の電源は専門範囲です。ところが、スイッチング電源は詳しくありませんでした。
しかしSCATという優れたスイッチング電源解析のソフトを知ることになり、その面白さに夢中になって、多くのスイッチング電源の回路をパソコン上で動かしてみました。そしていつしかSCAT使いのベテランになり、いくつものユニークな回路を生み出すとともに、特許出願や学会発表や技術誌執筆やセミナーの講師をすることになりました。
そしてついに念願の高音質スイッチング電源の開発に成功しました。これは2006年5月16,17日に高度ポリテクセンターで行ったセミナーや、2006年5月19日に電子情報通信学会で発表した内容に近いものです。
なお、東京都外国特許出願費用助成事業に選ばれ、外国特許も出願中です。オーディオ用として最高のスイッチング電源になりうる技術であると確信しています。この特徴を簡単にまとめると
★電圧波形はスイッチングノイズが最も少なくなるサイン波で、電流波形は2つの方形波が合わさって直流に近くなるので、全体的に非常に静かな動作です。そのためスイッチング電源特有のギラツキ感の無い音質です。
★レギュレーションが2%程度なのでフィードバックを掛ける必要が無く、その結果、音が非常に純粋です。
★大きなピーク電流でもコアは飽和しないので、瞬発力があり力強い音質です。
★電源の出力インピーダンスのインダクタンス成分が劇的に少ないので瞬間的な応答に優れています。
★高効率なので、小型化にも適しています。
STEREO(音楽の友社)2006年3月48〜49Pにオーディオライター村井裕弥氏による以下の記事が掲載されました。
タイトルは「アンプを組むにも一思案」で記事の要約は、高価なスピーカーのローンが終わったので、新たなアンプを買おうと、高級アンプ何機種かを自宅試聴した。約220万円のヴィオラ、約168万円のゴールドムンド、約23万円のAH!(アハと読む)、357万円のハルクロ、126万円のソニーなどを比較した。迷った挙句に357万円のハルクロを発注した。
上記の記事中で、フィデリックスのセリニティー電源を使った試作機のアンプ(クロスオーバー歪の出ない特殊なAB級)は以下のように紹介されています。
そういえば、この頃わが家にフィデリックスの試作機もやって来た。この試作機を体験すると、さっきまでノーメイクと思えていたゴールドムンドの「ごくごくわずかなお化粧」がわかるようになってしまったから恐ろしい。「ひょっとすると、世界一ストレートなアンプかも」と食指が動きかけたが、「発売日未定」と言われ、泣く泣く候補リストから削除(なお、発売されるとしたら30万〜40万とのことだった)。
セリニティー電源を搭載した世界初のパワーアンプ(フィデリックス試作機)の特徴
1 ノンカットオフAB級でクロスオーバー歪みやノッチング歪みが無い。
2 完全なDCアンプで0〜1MHz−3dBの広い周波数特性。
3 巧妙な位相補償により出力のインダクタを排除しても安定化に成功。
4 出力段のエミッタ抵抗を排除。
5 ポップノイズの出ない回路にし、出力リレーを排除。
下図は20kHzの時の電流波形 クロスオーバー付近の電流が滑らか
に切り替わっている様子が確認できます。